二代目神山善四郎氏の長男として誕生。幼少時より、リンゴ園にて教えを受ける。
「当農園の無袋栽培方法は、大変、手間がかかります」と前置きをしながら、神山善春は言う。
「9月からはリンゴに太陽光が沢山あたるように、葉取り作業を行いますが、一度に葉を採ってしまうと、光合成が損なわれ糖度が出ません。そこで、11月上旬の収穫まで葉に当たる日照時間をできるだけ長くするため、段階的に葉取り作業を行います。」
葉取り作業は、早朝から日没まで休むことなく続けられる。
「更に10月からリンゴに太陽の光をむらなく浴びせさせるため、リンゴのつるを回転させ、全体にくまなく色をつける作業を、11月の収穫間際まで行います」
「つる回し」と呼ばれるこの作業が、また神経を使う。
「リンゴに傷をつけたり、落とさないよう神経を使いながら丹念に手作業で行うので、一日にできる数が限られます。かつ大変熟練のいる作業です」
神山善春は、この作業を70年間、休むことなく続けてきたという。
さらに、その年の収穫が終わると、一番良いリンゴの枝を親木に接ぎ木。3年~4年経過すると収穫できるようになり、その後の経過を見ながら古い枝を剪定していくという。
神山善春は続ける。
「この作業を根気よく丹念に改良を重ね続けてきました。神山農園オリジナルのリンゴは、こうして時間をかけながら美味しく育ってきたのです」
何事にも同じく、人を感動させるものは、
一朝一夕には生まれることはないのだろう。
「数年前からは、孫の神山友孝と共に、どこにも負けないリンゴ作りをめざして頑張っております」
リンゴ栽培の話をする時の真剣な表情とは打って変わり、白い歯がのぞく。
美味しいリンゴには、人間味も欠かせない。