「何事も自然がいちばんなんですね」と、にこやかに話す。三代目神山善春氏の孫として生まれた友孝は、あおもり神山リンゴ園の将来を託される。
「リンゴ作りとはとても難しく、奥が深い仕事だと思います」
祖父と一緒のリンゴ作りは、友孝にとって念願のことだったというが、甘いことばかりでもなかったようだ。
「リンゴ作りは、とても根気と体力のいる作業ばかりで正直、最初は辛かった。でも、秋になり、赤いリンゴが実って一口食べた時に、今までの辛い作業が一気に楽しさに変わりました。収穫してみて、リンゴ作りの楽しさを知りました」
以来、友孝は、リンゴ栽培の魅力にのめり込んでいく。
広大なリンゴ園を早朝から日没まで歩き回り、リンゴの生育状況を刻々と見守る。枝葉の手入れ、ツル回しなどのこまかな作業もそれほど苦にならなくなったという。
「手をかければかけるだけ、リンゴは返してくれるんです」
今では、祖父が大きな目標となった。
「たくさんの人においしいっていわれるリンゴ作りを目指して、これからも祖父に教えてもらいながら勉強を続け、早く一人前になりたいと思っています。リンゴの接木のくりかえし、無袋栽培,がんこなまでに味にこだわって作り上げた、祖父オリジナルのリンゴを受け継ぎ、さらに追求したいんです」
まだ20代の友孝は、エコロジーなどの今日的なテーマにも関心が強く、地球を視野においた展開などへも意欲をみせる。
祖父を超える日は、そう遠くはないかもしれない。